減量治療コラム

医療痩身で本当に痩せる?

―「脂肪細胞を壊せばリバウンドしない」という誤解を医学論文から解説―

近年、「薬を飲めば痩せる」「脂肪を壊すからリバウンドしない」といった言葉を掲げるクリニックが急増しています。
脂肪吸引、脂肪冷却、脂肪溶解注射、GLP-1注射、EMS、HIFU、美容点滴……。

 

しかし本当に、
「脂肪細胞を壊せば、もう太らない」
という説明は医学的に正しいのでしょうか。

 

本コラムでは、肥満・減量治療を専門とする医師の立場から、医学論文(エビデンス)に基づいて
医療痩身でよくある誤解を一つずつ整理し、
「本当にリバウンドしにくい減量とは何か?」を解説します。

 


 

脂肪細胞を壊せばリバウンドしない?【結論:NO】

まず結論から言うと、
「脂肪細胞を破壊すればリバウンドしない」という説明は医学的には成立しません。

 

確かに脂肪吸引や脂肪冷却などの治療では、

  • 局所の脂肪細胞数
  • 皮下脂肪の厚み

を減らすことは可能です。

しかし、人の体は「脂肪細胞が減った=太れなくなる」ほど単純ではありません。

脂肪吸引後に起こる“代償性リバウンド”

実際に行われたランダム化比較試験では、
腹部脂肪吸引を行った後、運動習慣のない群では内臓脂肪が有意に増加することが示されています。

 

Benatti FB, et al.
Liposuction induces a compensatory increase of visceral fat which is effectively counteracted by physical activity.
J Clin Endocrinol Metab. 2012
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22539589/

 

つまり、

  • 脂肪を取った場所は太りにくくなる
  • しかし体重が増えれば、別の場所(特に内臓脂肪)に脂肪が再配分される
  • 結果として「見えない場所で太る」

という現象が起こり得ます。

 

これは美容的にも、健康的にも望ましい状態とは言えません。

 


 

脂肪冷却はリバウンドしない?

脂肪冷却は「脂肪細胞を凍結し、自然死(アポトーシス)に導く治療」と説明されます。

 

しかし重要なのは、
脂肪冷却は“肥満治療”ではなく、“輪郭形成”を目的とした治療
であるという点です。

論文が示す現実

腹部脂肪冷却のランダム化比較試験では、

  • 単回治療では有意な脂肪減少が得られなかった
  • 体重減少効果は示されていない

という報告も存在します。

 

Falster M, et al.
Effects of cryolipolysis on lower abdomen fat thickness of healthy women.
Lasers Med Sci. 2019
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7563801/

 

つまり、

  • 部分的なライン改善には一定の意義がある
  • 体重が減るわけではない
  • 食生活が変わらなければ、別の部位に脂肪はつく

というのが、医学的に正確な理解です。

 


 

GLP-1なら「普通に食べて痩せられる」?

GLP-1受容体作動薬(セマグルチド等)は、
現在もっとも体重減少効果の高い薬物療法の一つです。

 

ただし、その作用は
「脂肪を溶かす」薬ではありません。

GLP-1の本当の作用機序

  • 食欲抑制
  • 胃排出遅延
  • 摂取カロリーの低下

によって体重が減少します。

 

国際ガイドラインでは、
GLP-1製剤は**食事・運動・行動療法を補助する“併用療法”**と明確に位置づけられています。

 

Apovian CM, et al.
Pharmacological Management of Obesity.
J Clin Endocrinol Metab. 2015
https://academic.oup.com/jcem/article/100/2/342/2813109

 

中止後のリバウンド問題

STEP 1試験の延長解析では、
セマグルチド中止後に体重の大部分が再増加することが示されています。

 

Wilding JPH, et al.
Weight regain after withdrawal of semaglutide.
Diabetes Obes Metab. 2022
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35441470/

 

つまり、

  • 薬で痩せることはできる
  • しかし「普通に食べて痩せ続ける」わけではない
  • 維持戦略がなければ高確率でリバウンドする

というのが現実です。

 


 

脂肪溶解注射・EMS・美容点滴は減量治療?

脂肪溶解注射

FDAが承認している適応は二重あごのみです。

 

KYBELLA® FDA label
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2018/206333s001lbl.pdf

 

全身減量目的での使用に、
十分なエビデンスは存在しません。

EMS・HIFU

脂肪厚の軽度減少は報告されていますが、
肥満治療としての体重減少効果は確認されていません。

 

Swanson E.
Electromagnetic Treatments for Body Contouring.
Aesthet Surg J. 2022
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9869942/

 

美容点滴

「痩せる点滴」に、
健康な人が体重を減らせるという確かな根拠はありません。

 


 

本当にリバウンドしにくい減量とは?

医学的に重要なのは、
**「脂肪をどう壊すか」ではなく、「エネルギーバランスをどう変えるか」**です。

  • 摂取量
  • 消費量
  • ホルモン
  • 胃の容量
  • 食行動

これらを構造的に変えた治療だけが、
長期的な体重維持につながります。

 


 

当院が考える「医学的に正しい減量」

当院では、

  • 内視鏡的減量治療
  • 薬物療法
  • 食事・行動サポート

を組み合わせ、
「痩せること」よりも「戻らないこと」を重視しています。

 

派手な言葉ではなく、
論文と患者データに基づいた減量を提供することが、
医療機関の責任だと考えています。

 


 

よくある質問(FAQ)

脂肪冷却は意味がない?

部分的な輪郭改善としては意味がありますが、体重減少目的には向きません。

GLP-1を使えば一生痩せられる?

中止後のリバウンドが報告されており、維持設計が不可欠です。

医療痩身で一番大事なことは?

「どう痩せるか」より「どう維持するか」です。

予約

インターネットから

24時間予約可能です。

WEB予約

LINE

ご相談・お問い合わせ・ライン予約
はこちら。

お友達追加

TOPへ